■プレゼンテーション要約■

2001/12/08(土) 「朝日新聞愛知万博フォーラム〜ITが開く人と地球の新世紀」
         「アイボ遊戯団」(RT:Robot Technologyの考察)
        愛知県名古屋市熱田区 名古屋国際会議場3号館3階国際会議室

ITに続く先進技術"RT(Robot Technology)"をテーマにした講演も実施しています。


パネル1

パネル2
■パネル1
◇日本のロボット産業は1970年代が萌芽期。
◇1990年代までは、産業用ロボット(自動織機、産業マニピュレータ、組立作業ロボット )が中心であった。
◇そして、2000年を機にロボット産業自体が大きく変わろうとしている。
 事例:マイクロロボット(微少駆動技術)、ロボティックルーム(ホームLAN普及に伴う日常生活支援)
◇ロボット技術(RT:Robot Technology)は、ITと同様に産業競争力を強化する上で極めて戦略的な技術分野である。
■パネル2
◇ロボット分野の国際競争力を応用分野別にみると、日本は、製造業用ロボット、建設ロボット、エンタテインメントロボット等の分野で競争力が高いことが分かる。
 国際競争力:1.他国に真似をされるようなオリジナルな製品を開発する力、2.他国に製品を輸出する力、3.国内で他国を越える製品市場を持つ力、4.市場をプロモートする力、などを総合的に評価したもの
◇では、エンタテインメントロボットとは、なんだろう?
◇その代表的な事例として、AIBOを取り上げて考察してみよう。


パネル3

写真1:各ユニットの分離(ERS-210)
■パネル3
◇AIBOは図のような基本コンポーネント(CPC:Configurable Physical Component)で構成されている。
◇左上の図:立体的に見てみたもの。
◇右上の図:各コンポーネント(CPC)をツリー状に配置したもの。
■デモンストレーション1:AIBO(ERS-210) のユニット分離
◇ボディ腹部に充電式のバッテリが収納されており、全コンポーネント(モーター、LED、カメラ、マイク、センサー等)及びCPUの動作を司る。
◇また、ピンク色のメモリースティックが記録媒体として用意されており、ここにAIBOとして動作するためのプログラムやデータ等が記録されている。
◇各コンポーネントが組み込まれたユニット(Head, Legs(L,R), Hands(L,R), Tail, Core)を分離してみる。(写真1)
◇中央の黒い箱がCPU。 つまりAIBOとは、頭、四肢、尻尾、カメラとマイク等が接続されたコンピュータそのものであり、これがロボットとしての紛れもない証である。(電子ペットや玩具ロボットの類では無いということである)


パネル4-1

写真2:Standalone(Basic System)としてのAIBO
■パネル4-1
◇コアユニットに対して、プログラム及びデータ用の記録媒体と基本コンポーネント(CPC)が接続され、これが1体のAIBO(Basic System)となる。
◇更に、このBasic Systemに対して開発環境や外部拡張機器等を組み合わせることを想定すると図のようなモデルがある。GSFRM(Generic System Functional Reference Model)
◇中央上の図:Basic Systemのみで動作するのは、普段私たちが目にしているAIBOそのものでStandaloneタイプと言える。(写 真2)
◇左下の図:これらのモデルの中で、特に注目したいのは Remote-Operated で、AIBO(Basic System )とRemote Host(コンピュータ)に、各々ワイアレス・モジュールが接続され、双方がワイアレス・チャンネルにより接続されているモデルである。
◇即ち、これはコンピュータ・ネットワークの基礎を司るモデルであり、更なるネットワークと結びつくことにより Networked Robots(右上の図)としてのモデルが実現できる。
◇「アイボ遊戯団」は、前述のRemote-Operatedを拡張したモデルであり、どちらかと言えばMulti Agents(右下の図)に近いモデルである。


パネル4-2

写真3:Multi Agentsとしての「アイボ遊戯団」
■パネル4-2
◇「アイボ遊戯団」のネットワーク構成は、図のようになっている。
◇5体のAIBO(ERS-210)は、1台のパソコンと同一のネットワーク上に接続され、このパソコンには遊戯団専用のマルチ・コントロール・ソフトウェアがインストールされている。
◇ネットワークはEthernet(TCP/IP)により構築されており、AIBOとパソコンには無線LAN(IEEE802.11b準拠)カードが搭載され、無線LANステーションを介して通 信速度11Mbpsで相互接続されている。
■デモンストレーション2パフォーマンス・ショー
◇「アイボ遊戯団」のパフォーマンスは、構成台本に基づき司会者が進めるショーの進行に合わせて、オペレータが5体のAIBOをコントロールすることで実現している。(写 真3)
◇5体のAIBOは、初期状態で内蔵されているパフォーマンスと共に、独自にプログラムされたパフォーマンス・データがメモリースティックに保存されており、パソコンからのリクエストによって、これらを再生させることができる。(パフォーマンス・データは、AIBOマスタースタジオにて制作されている)
◇AIBOからパソコンに対しては、CPU温度、バッテリー温度、バッテリー残量 等が定期的に、またリクエストされたプログラムの実行に関しての終了告知等のデータが送信されている。

■まとめ:RTが新しいメディアとして発展することを願って(まだ誰もやっていないことへのチャレンジとして)
◇以上のように、「アイボ遊戯団」は、現在のITを象徴するインターネット技術をベースに構築されており、コンピュータ・ネットワークに接続されたリモート・ロボット群そのものである。
◇つまり、「アイボ遊戯団」は、コンピュータとネットワーク、或いはコンピュータとロボット、ロボットとネットワーク等を題材に、RT(Robot Technology)を考察する上で非常に分かり易いサンプル・ケースでもある。
◇コンピュータ同士がネットワークにより結びつき、瞬時に文字や絵や音声・映像を送り出すことが可能になった昨今。  しかし、情報を伝える技術は発達しているものの、動作を伝える技術は、まだまだ発展途上の段階にある。
◇インターネット技術を使ってコンピュータ画面に文字や映像を伝えられるように、「アイボ遊戯団」は、ロボットという媒体を通 してパフォーマンスという手段で情報を表現することで、人々に新しい何かを伝えることができる未来のメディアとしての位 置付けを模索している段階である。
◇そして、それこそがロボット・エンタテインメント・ショーを名乗る由縁でもある。
◇かつてテレビジョン放送が日本国内で初めて成功した時に送られた映像は「イ」の字1文字だった。
◇現段階の「アイボ遊戯団」は、これと同レベルの段階にあるのかも知れないが、過去数年、数十年を振り返ってみれば、メディアやITの発展・発達には凄まじいものがあり、RT(Robot Technology)もこれと同様の進化が期待できるだろう。
◇ただし、これらの発展に伴って様々な障害や弊害も発生する可能性があることも考えておかなければならない。
◇そのためには、RT(Robot Technology)が加速度的に発展してしまう前に「ロボット・リテラシー」の意識を持つことが重要なのかも知れない。
2001/12/08:ヒデ・キタガワ(mailto:aibo@april.co.jp)
写真3提供:あゆん坊さん
2001/12/08のレポートへ

詳細記事:「シンポジウム 朝日新聞愛知万博フォーラム『英知が広げるITの夢』2001/12/20(asahi.com)」

 
※参考文献及びパネルに使用した資料図面の出典:
21世紀におけるロボット社会創造のための技術戦略調査報告書(要約版)
  社団法人日本機械工業連合会/社団法人日本ロボット工業会(http://www.jara.jp/より入手可能)
Development of an Autonomous Quadruped Robot for Robot Entertainment
  MASAHIRO FUJITA(D21 Laboratory, Sony Corporation), HIROAKI KITANO(Sony Computer Science Laboratory Inc.)
  Autonomous Robots, 5, 7-20 ©1998 Kluwer Academic Publishers, Boston. Manufactured in The Netherlands.
An Open Architecture for Robot Entertainment
  Masahiro Fujita and Koji Kageyama(D21 Laboratory, Sony Corporation)
 
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